「共感」と「賛同」は一見似ているようですが、実は違うということをご存知でしたか?あなたはその違いに気付いて、区別できていますか?子育て支援とか、福祉のお仕事をされている方には特にこの違いをしっかり理解しておいて頂きたいと思います。何故なら共感できるけど賛同できないことや、共感はしないけど賛同できることがあるからです!
共感とは!?
共感とは相手の意見や感情に対して同じような気持ち、感情になることを言います。つまり主役は「感情」「感じること」です。
一時期EQ(emotional quotient)=「心の知能指数」=「感情指数」という言葉がブームになったことがあります。EQとはまさに共感力とも言えます。
自分の感情が相手に寄り添った時に「共感」が生まれます。共感は右脳(特に大脳辺縁系)の成せる業と言えます。
賛同とは!?
賛同とは論理的に判断して、その考えや意見に対して同意するという場合のことを言います。
こちらはどちらかというとIQ(intelligence quotient)=「知能指数」によるもので、左脳(特に大脳新皮質)の判断に依るものです。
「感じる」と「考える」の違い
「感じる」と「考える」の違いに気付いていない方もたくさんいらっしゃいます。研修の場面で「どんなことを感じましたか?」という質問に、考えたことを答える方は多数いらっしゃいます。また、私自身も以前は「感じたことは?」と聞かれて「考えたこと」を答えていましたし、その違いに気付いていませんでした。
このことはハーマンモデルを学んだので違いを理解し、自分で「感じること」と「考えること」の区別ができるようになりました。
「共感」と「賛同」の違い
「共感」は感情が働くもので、共感するかしないかは自分の感情が判断しています。「賛同」は論理的に考えて判断していますので、そこにはほぼ感情は入りません。
つまり、「共感」はするけど「賛同」しないことや、「共感」はしないけど「賛同」することは世の中に多々存在します。しかしやっかいなのはこの区別の出来ていない人は「共感」できないので「賛同」しないとか、「賛同」できないので「共感」もしない、というケースがあることです。
高校時代を思い出すと、仲の良い友達の言うことに対して「共感するから賛同もすること」(しかし実際は間違っている場合もある)や、「共感しても賛同しない場合」にはどうして賛同しないの?と責められたような記憶があります。
「共感する場合は賛同もする」というケースは女性に多いような気がします。
一方「賛同できない場合は共感もしない」というケースは左脳優勢の男性に多い気がします。
「共感」と「賛同」の4つの組み合わせ
共感と賛同の組み合わせには4パターンが考えられます。
- 「共感」も「賛同」もする場合
- 「共感」はするけど「賛同」はしない場合
- 「共感」はしないけど「賛同」する場合
- 「共感」も「賛同」もしない場合
4つのパターンの違いがわかる事例
この4つのパターンを事例で示したいと思います。
わかりやすく共感や賛同を「する場合」は〇、「しない場合」は×と表記します。
事例その1
双子のお子さんを保育園に入れたいと思って、市の保育園の申し込みをしたシングルマザーの鈴木さんという方が居たとします。双子のお子さんのA子ちゃんは青葉保育園に、K子ちゃんは少し離れた杉山保育園に当選しました。しかし、お母さんが一人で2か所の保育園に通わせるのはとても大変です。そこで鈴木さんは何とか双子を同じ保育園に入れてもらえないか相談に来たとします。(実際にこのような事例があるかどうかはわからないので、あくまで創作問題です。)
そのときに市側の担当者だとしたらどのような対応をするか?という事例です。
1.「共感」〇「賛同」〇
シングルマザーのお母さんが二カ所にお子さんを通わせるのはとても大変だと共感し、同じ保育園に通わせることに賛同する、という考え。
2.「共感」〇「賛同」×
シングルマザーのお母さんが二カ所にお子さんを通わせるのは大変だからとても共感するけど、あくまで公平な抽選を行なって決めていることなので、同じ保育園に通わせるよう融通をきかせることには賛同しかねる、という考え。
3.「共感」×「賛同」〇
シングルマザーのお母さんが一人でお子さんを育てるのはその方が選んでやっていることだから特別共感はしないけど、同じ場所に通える方が効率的だし、兄弟なんだから同じ保育園にしてあげるのは賛同する、という考え。
4.「共感」×「賛同」×
シングルマザーだろうと何だろうと保育園の入所はあくまで抽選で行なうことに決まっているのだから、ルールに従えないなら保育園そのものに入ってもらわなくてもいいし、わざわざ同じ保育園に変更するなどしなくて良いという考え。
事例その2
台風で家が浸水したので避難場所に行きたいが、家族同様にネコを飼っていて何とかネコと一緒に避難させて欲しいという方が避難場所にいらした場合を想定してみます。その避難場所(人間のみ受け入れることを想定している)を運営している立場の方の判断の仕方です。
1.「共感」〇「賛同」〇
家族同様のネコなら離れがたい気持に共感するし、離れさせたら精神的に不安定にもなるだろうから、ネコと一緒に避難してくることを受け入れる。
2.「共感」〇「賛同」×
ネコが家族同様だということには共感するけど、この避難場所はあくまで人間のためのものなので、動物はご遠慮頂いています、という考え。
3.「共感」×「賛同」〇
ネコを家族と思うことに共感はしないけど、周りに迷惑を掛けないなら動物愛護の意味でも一緒に避難してもらって構わない、という考え。
4.「共感」×「賛同」×
今は人間を救出することが第一なので、いくら家族と言っても動物は動物なのでここに連れてこられては困る、という考え。
あくまでこの4つの違いをイメージして頂ければと考えた事例なので、事実とは異なる可能性もありますので、その点はご了承ください。
こうして分析してみると、共感は右脳優位の人が主にするように感じますし、賛同は左脳優位の人がするように思います。
まとめ
共感と賛同の違いについて事例を交えて解説してみました。
- 共感とは?
- 賛同とは?
- 「感じる」と「考える」の違い
- 「共感」と「賛同」の違い
- 「共感」と「賛同」の4つの組み合わせ
- 4つのパターンの違いがわかる事例
共感は感じることなので、主に右脳で行ない、EQとも通じている。
賛同は論理的判断、知能に依るものなので左脳的判断でIQと通じている。
「共感するかしないか」と「賛同するかしないか」の判断は脳の使っているところが違うということを理解し、右脳と左脳の判断をそれぞれ別に行う必要があると考えます。つまり感情的にはどうか、論理的にはどうか、の2パターン考えるとモレのない対応が可能となるのではないかと思います。
いかがでしょうか?共感と賛同についてのご理解は深まったでしょうか?もしかすると今まで意識したことがないかも知れませんので、新たな捉え方だと思います。この視点を持つことが適切な対応に繋がりますので、まずはそうかも知れない!と受け入れて頂けたら嬉しいです。
共感と賛同の違いについて書いた過去記事も良かったらお読みください。
早速「共感と賛同の違い」読ませていただきました。
その気持ちわかるよ~でもそのやり方は何か違う気がするとか、
もっと違う方法があるのにとか、
その言い方はちょっと違うんじゃない?とか..
共感はするけど賛同できないことって結構あるなと思いました。
ファシリをする上でもこの視点を意識することはとても大事なことなんですね。
勉強になります!ありがとうございます。
そして..
昨日せっかく先生がほめてくださったのに受け取りきれなかった私。
面談後のトイレの中で気がつきました。
んーまだまだです苦笑
初めまして、JOEと申します。
興味深く良い記事でした。
あるワードで検索してて辿り着きました。
自分のありたい所に思う事があった時、4つの視点で考えてみる事によってより明確になるんだな〜と思う事が出来ました。
この事は無意識には考えた事もあるかもしれませんが、4パターンの考え方をちゃんと活字にして記事にした事により、より明確になったと思いました。
仕事として講師をやられてるとの事でさすがプロだなと思いました。
自分も然るべき教育を受けて仕事としてやってみたくなりました!
誰かの気づきや成長になるきっかけに関われたらと思うと素敵なお仕事です。
(中々簡単なお仕事ではないんでしょうけど)
長々と失礼致しました!
JOEさん コメントありがとうございます。数あるブログの中からたどり着いてくださり見つけてくださりありがとうございます。また、共感と賛同の違いを4つのゾーンに分けた説明に関しても理解して頂いたありがとうございます。
これからJOEさんが誰かと対話するときに、あるいは教育関係のお仕事をされるにしろ、役立てて頂けたら幸いです。
また私事ですが、今後私の持っているノウハウを全て伝える&その方の能力&脳力を最大限に引き出すオンラインスクールの開校準備をしています。そちらにお越し頂けたらとても嬉しいです。また、そのスクールの紹介などもしてきますので、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。